河道内に繁茂する木とか草についての話題です。河道内植生とか呼ばれており、河川分野では一つの研究テーマだったりします。
まず、大きな出水のあった2019年の荒川の熊谷周辺の経年変化をplanetでレンダリングしてみます。
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解説
4月、6月、9月を比較すると砂州上に草本類が繁茂していく様子がよくわかります。繁茂するしないの差は(小規模な)出水で冠水するかどうかなので、植生の繁茂状況から出水時の流路が推定できます。
次に洪水後(11月)と比較すると、出水規模が大きすぎるため流路変動が生じていますが、大部分で植生が流出していることがわかります。季節変化もあるので画像のみで流出箇所を判断できませんが、水理解析を行えばわかるはずです。
洪水後
偶然見つけた
ほんとに偶然ですが、砂州上の細い水路は工事用の仮設水路ですね。護岸等の工事でよくやります。洪水後(11月)の写真をみると完全に水路が消えているのが面白いです。
ちょっとマニアックな話を
- 河道内植生の問題は、出水によって流出しない草本類が木本類に変化して定常的にその場に存在してしまうことにより、川が川らしさを失うことです。
- 日本の多くの大河川で植生繁茂が問題になっていますが、これは出水規模の縮小、つまりダムによるコントロールが問題です。
- 川は適度な出水がないと川として存在することができないのですが、人間がなかなかそれを許容できない。今後の河道設計の課題ですね。
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