平野先生の本は、MAC法、SIMPLE法の計算方法はしっかり書いてありますが、自由水面の話はほとんど無いです。 自由水面は「移動境界流れ解析」くらいしか無いかもしれないですね。
- 作者: 数値流体力学編集委員会
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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流れの数値計算と可視化 第3版 SIMPLE法とMAC法による熱流体解析 Tecplot ダウンロードライセンス付
- 作者: 平野 博之
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: 単行本
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FAVOR法は、檜谷先生のところの梶川さんの博士論文http://repository.lib.tottori-u.ac.jp/Repository/detail/257420131022103337 に詳しく書いてます。
三次元解析を行うときに少し勉強したのでまとめてます。 いろいろな書き方があると思いますが、河川流の解析の観点からまとめてみます。
計算格子
カーテシアン格子(MAC法、VOF法等)
メリット
- 計算が楽。コーディングがシンプル。
- 近年大流行のため、Immersed Boundary法(IB法)をはじめとしたいろんな論文が出ている。
デメリット
- 境界が曖昧のため、境界条件の設定に工夫が必要。また、境界付近の精度がラフになる。
- 格子サイズの設定に計算精度が依存する。
境界適合格子(いわゆるσ座標系)
メリット
- 境界条件の設定が容易
- 水深に応じて格子サイズを変更するため、効率的な計算が可能。
デメリット
- 河川の場合、σ軸を鉛直上向きに設定することが必要のため、格子の直交性が確保されない。
- 計算が煩雑。特に複雑な条件(乱流や構造物等)の場合はほんとに面倒。
カーテシアン格子における計算方法
自由水面以外の計算
基本的には、MAC系解法かSIMPLE系解法になると思います。その他にも高精度なものを使う手はあると思いますが。
自由水面位置の決定
MAC法(SOLA-SURF)
元々のMAC法では、位置の決定は運動学的境界条件や大気圧等の条件により決定している。が、実際にやってると結構特に質量保存がかなりあやしくなる。
MAC法+水深積分連続式
MAC法を用いるが、水面位置は水深積分した連続式を用いるもの。質量保存はOK。 私が参考にした中山先生の方法やFAVOR法がこの方法に分類される。 これって考えようによっては、水面セルだけVOFでといているのと理解できます。(VOFの1と0以外が水面部分となり、その割合から水深を決定している。)
VOF法
VOF法は河川ではあまり用いられないが、多くの分野で研究が進められており、境界条件を的確に設定すれば水滴まで解ける。でも、河川では多分ここまではいらないような気がします。
境界条件の設定
カーテシアン格子の場合、任意の境界位置での境界条件をからセル値へ外挿・内挿が必要になる。ここさえしっかりできれば問題なし。また、河川の場合は水面だけでなく、河床でも同様の対策が必要です。なお、IB法はこの取扱方法の一つです。
まとめ等
- 完璧な座標変換を行った3D計算は確かに凄いが水深のレンジが大きな場合は、計算の精度に課題が残る。河床変動計算が目的なら、細田先生等の非静水圧水深積分モデルで十分な気がする。
- カーテシアン格子の計算は格子を十分に小さくする必要があるため計算負荷が大きいが、近年のPCの発達を考えると非常に有効である。
- 環境水理の分野では、東工大の中村さんがCIP-Soroban法という結構ラフな方法ですが、効率的な方法を考えてます。
以上、関連する論文等は時間があるときにまとめます。