解像度が高過ぎてレンダリングが追いつかない。。。。
この記事のポイント
- ALB地形を使った超高解像(2.5m間隔、430万メッシュ)の水深平均二次元計算を実施
- 局所的な流況を再現可能。土砂水理、環境水理の分野では特に重要な知見が得られる
- オープンデータを整備して頂いた国土交通省に感謝。河川工学の進展に期待。
モチベーション
過去記事(オープンデータのALB測量よりjupyter上で陰影図を作成する - 趣味で計算流砂水理)にも書いたオープンデータのALB(Airborne LiDAR Bathymetry)による測量結果を用いて水深平均二次元流計算をやるとどうなるかのチャレンジです。
計算対象
- 対象河川は8606070001です。
- 対象範囲は下図のとおりの領域です。流下距離で約10km程度です。
- 地形データは、国土交通省によるオープンデータ(グリーンレーザ計測データ 九頭竜川上流部)を使用しました。
- 流量規模は、計算対象の少し下流の 306071286601080地点の豊水流量 相当の100m3/sとしています。
計算条件
- デカルト座標系による水深平均二次元流計算
- 初期条件はドライで定常になるまで5時間流し続ける。
- 下流端はゼロ勾配
- 時間刻みは0.025秒
- 空間刻みはx,yともに2.5m
- 格子数は約430万個
- マニングの粗度係数は0.025
計算結果
計算結果として、水深、流速の平面分布を図化しました。なお、流速のベクトル図は見やすくするため、100メッシュに1点のみ図化しています。
計算結果のポイントを簡単にまとめておきます。
5m程度の狭い流路が解像できる。
これまでの計算では難しかった小規模な流路の計算が可能になります。
シュート・プールの再現
流れが速く水深が小さいシュート部、流れが遅く水深が大きいプール部の流況がきれいに再現できます。
根固めブロック周辺の局所流の再現
橋脚周辺の根固めブロック周辺の流れも再現できます。
計算時間
これが今回の問題で、私の計算機(計算機のスペック:BTOパソコン - 趣味で計算流砂水理)でnumbaを使用し、並列化した上で実時間5時間の計算に約31時間かかりました。
numbaの関連記事は以下があります。
まとめ
- ようやくまともな水深平均二次元計算ができるようになり結構興奮しています。本業でも計算することはありますが、地形データが得られないため、かなりラフな計算にならざる得ないのでずっともやもやしていました。
- このような地形データが得られることは間違いなく河川工学の進展に繋がります。河川工学2.0。
- 特に、土砂水理の進展には重要な情報になります。
- また、環境水理の分野では、小規模流量時の流況が重要になるので高解像度の地形データは重要です。
- 次のモチベーションとして、計算時間の短縮を考えています。目標は31時間から30分以内。
謝辞
このようなデータをオープン化して頂いた国土交通省さんに感謝です。間違いなく河川工学が一歩進むきっかけになります。
Github
参照
gif作成
computational-sediment-hyd.hatenablog.jp
グラフの作成はHoloviewsを使用
computational-sediment-hyd.hatenablog.jp
時間をみて解説記事を書いていきます。