はじめに
河川流解析でよく用いる境界適合格子の平面二次元計算の格子生成について整理しました。
現在は私はこの方法を使わないのですが、昔のメモが出てきたのでまとめておきます。
計算式の整理
座標変換の準備
座標系から座標系に変換するため、そのための式を整理しておきます。
2階微分についても整理します。後の処理のため、式変形を行っているが、かなり煩雑である。(間違っていたらすいません。)
2式よりラプラシアンは次のとおりになります。
ここに、
ラプラス方程式による座標変換
座標変換では、ラプラス方程式(またはポアソン方程式)を解くことによって滑らかな格子を生成することができます。
これら2式について、前述の座標変換を用いて、による微分の形に変形します。2式を連立して式変形をすると下式が導出されます。
この2式を解くことにより、滑らかな計算格子を生成することできます。
詳細は以下の参考書籍をご確認いただければと思います。
参考書籍
実装
前述のポアソン方程式による座標変換を実装します。 数値解法にはSORを使用しています。 言語はpythonです。
def relaxation(xi,yi,omega=1.9, nit=300): dxi, deta = float(1), float(1) x = xi.copy() y = yi.copy() outerr = [] for it in range(nit): xn = x.copy() yn = y.copy() err = [] for i in range(1, x.shape[0]-1): for j in range(1, x.shape[1]-1): alfa = ((x[i,j+1]-x[i,j-1])/2/deta)**2 + ((y[i,j+1]-y[i,j-1])/2/deta)**2 beta = (x[i+1,j]-x[i-1,j])/2/dxi*(x[i,j+1]-x[i,j-1])/2/deta + (y[i+1,j]-y[i-1,j])/2./dxi*(y[i,j+1]-y[i,j-1])/2/deta gamma = ((x[i+1,j]-x[i-1,j])/2/dxi)**2 + ((y[i+1,j]-y[i-1,j])/2/dxi)**2. # SOR dd = (alfa*(x[i+1,j]+x[i-1,j])/dxi**2 \ - 2*beta*(x[i+1,j+1]-x[i-1,j+1]-(x[i+1,j-1]-x[i-1,j-1]))/4/dxi/deta \ + gamma*(x[i,j+1]+x[i,j-1])/deta**2)/(2*alfa/dxi**2+2*gamma/deta**2) err.append( dd - x[i,j] ) x[i,j] += omega*(dd - x[i,j]) dd = (alfa*(y[i+1,j]+y[i-1,j])/dxi**2 \ - 2*beta*(y[i+1,j+1]-y[i-1,j+1]-(y[i+1,j-1]-y[i-1,j-1]))/4/dxi/deta \ + gamma*(y[i,j+1]+y[i,j-1])/deta**2)/(2*alfa/dxi**2+2*gamma/deta**2) err.append( dd - y[i,j] ) y[i,j] += omega*(dd - y[i,j]) serr = np.sqrt( np.sum(np.array(err)**2) ) print(serr) outerr.append(serr) return x,y,outerr
後述するサンプルは1500メッシュですが、数万メッシュ程度までであれば、実装が容易なSORで十分です。 メッシュ数が増える場合は、より高速なADI法やChebyshev SOR 法 (red-black point relaxation)等を使ったほうが良いです。
サンプル
河川湾曲部の境界適合格子の計算結果を図化します。
initial:適当に等間隔に配置した格子とoptimize:ラプラス方程による結果の2ケースを比較しています。
それほど変わらないのですが、湾曲部を拡大すると滑らかなになっていることがわかります。
ソースコードは以下です。
参考
http://www.caero.mech.tohoku.ac.jp/publicData/Daiguji/Chapter3.pdf
参考:SOR v.s. Gauss-Seidel
確認のため、SOR法とGauss-Seidel法の比較を載せます。
SORのほうが圧倒的に早いです。実装の手間は同程度なのでSORを使ったほうが良いです。
参考
[Pythonによる科学・技術計算] ラプラス方程式に対するSOR法・ガウス-ザイデル法・ヤコビ法の収束速度の比較,偏微分方程式,境界値問題 - Qiita
まとめ
ラプラス方程式を解くことによって滑らかな格子を生成することができます。 ただし、全ての端で境界条件を与える必要があるため、良い計算格子を生成するためには境界条件が重要になります。 そのため、本記事の手法のみでは良い計算格子を作成することは難しいです。
種々の方法が提案されていますが、以下の方法が実用的で私はよく使っています。
computational-sediment-hyd.hatenablog.jp