趣味で計算流砂水理

Computational Sediment Hydraulics for Fun

国交省のとんでも水位予測について

あまりコラム的なことを書くのは趣旨が異なるので嫌なのですが思うことが多くあるのでまとめておきます.

水位予測の現状

去年の産経の記事がわかりやすいです.

https://www.sankei.com/premium/news/170711/prm1707110004-n1.html

要するに, - 精度が悪すぎて公開はできない. - 気象庁的には何とかしたいから指定区間は独自公開.

気象庁からみたら国交省の予測はありえない.基本がなってないので鼻で笑うレベルらしいです.

河川の予測は国交省しか出来ない的な印象ですが,測量データを公開しないので計算できないだけ.ほんとに誰かなんとかしてほしいです.

水位予測システムの改修

新システムに関する記事が以下です.

http://www.mlit.go.jp/common/001240498.pdf

https://www.sankei.com/region/news/180629/rgn1806290016-n1.html

水害リスクラインって...英語になってない...

モチベーションは正しいのですが,このモデルが相当まずい.

新たな水位予測システムの技術的なまず

このモデルは,京大 立川先生が提案したモデルです.

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/194041/1/jscejhe.67.I_511.pdf

既存のモデルとの変更点は,「データ同化」と呼ばれる手法を用いて,観測値(水位)に基づき,計算条件を逐次修正(最適化)することにより予測精度を上げる点です. これ自体は問題ないのですが,問題は最適化している条件として,「粗度係数」と「流入量係数」としていることです.後者はまだ許される範囲(流入量係数じゃなくて流入量にしないと駄目)ですが,前者はありえない. そもそも,リアルタイム解析でパラメータを最適化するなんてありえない.こんなことしていたら,アポロは一生月に着きません. 気象予測をはじめとしたデータ同化を用いた数値予報システムはいくつもありますが,すべて状態量を同化しています.

なぜか国交省は,この論文一本を担保に今年度より2-3年,数十億かけて,この考え方によるシステムの入れ替えを行います.税金の無駄遣いもいいとこです.精度は期待できないでしょう.

急に立川さんがスタンスを変更

ところが,唯一の担保だった立川さんが今月号の土論で急にスタンスを変更してきました.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejhe/74/2/74_32/_pdf/-char/ja

最新なので有料です.(DBに)

結論は,パラメータの同化では予測精度がでないので,状態量(貯留関数なので貯留高)の同化しましょうということです.

国交省はもう走り出したのにどうするのでしょうか..

立川さん含めこの手の研究で気になること.

  • なぜか,水文関連では粒子フィルタが好まれているようですが,ほとんどの論文で誤差分布が示されていないので,非ガウシアン分布になっているのかが不明です.ざっくり見た感じでガウシアンっぽいので,メリットがないのでは,

  • 立川さん程度の計算ならバックプロパゲーションで解けるのでは?

今後の期待

  • 河川は気象と比較するとまだまだ観測データが少ないので同化が難しい.今後は観測データが増えるようなので精度向上が期待できる.
  • 降雨流出過程が概念モデルにならざる得ないので同化が難しい.ここはブレイクスルーが必要

愚痴っぽくなりましたが,一技術者として思うことです.